る者


 栗色の髪の若い男が大型のバイクを引いている。右手に地図の描かれた紙切れを持っていたが、初めての地下都
市の勝手に戸惑っていた。辺りには確かに位置を示す看板や、目印になるような大きな建物が建っている。しかしこの
辺りにはあまりにも物が溢れ、詰め込まれたようにひしめいていた。
 物珍しい景色を眺めているが、その若い男が引いているバイクもかなり物珍しい形状だった。 大型のフェイスカバー
には左右に鋭い鷹の目のようなライトが埋め込まれ、そのサイドにはウィンカーと一体となったミラーが取り付けられて
いる。その後部にはコブラのように横に広がったタンクがあり、その下のエンジンはフレームカバーで守られてはいる
がそこから露出する六本の筒が大型である事を伺わせる。そして左右後部に伸びる大型のマフラーには更に大型の
サイレンサーが取り付けられている。後部には大量の物資を積めるであろうタンクが備え付けられ、さらに助士シート
には荷がくくり付けられている。シートの高さは標準的背丈の彼の合わせて高くはなく、側面から見た外見は特別大きく
は見えないが、しかし正面から見ればいかに膨らんでいるかが分かる。その重量は350キログラムを優に超えるだろ
う。そして全体が赤と黒に塗装され、その中一際目立つ9の字がフレームカバーに描かれていた。少しでもACの知識
を持つ者なら分かるだろう。それは史上最強のレイヴン、ハスラーワンが乗ったAC、ナインボールのエンブレムだ。
 そう、彼はレイヴンになるためにこの地下都市に来たのだ。レイヴンになるためにはここで適正テストを受けなければ
ならないらしい。しかし、青年には詳しい内容は知らされていなかった。前もって内容がわかっていてはテストにならない
という事だろうか。
 彼がレイヴンになる機会を得たのはほんの一週間前だった。
 それまで彼はこのバイクに乗り世界中、人間の生存を許された極一部という意味での世界中をこのバイクで走り、そ
の場その場での生き方をしていた。もちろん人の世を捨てたわけではなく、逆に世界中の人々に会う事をこれ以上無く
楽しみにしている。旅の資金が尽きれば近場の街で仕事を探し、資金が貯まれば再び旅に出る。人当たりの良い彼は
どこにでもすぐに馴染んだ。
 まだ少年らしさの残る顔には翡翠色の瞳が輝いている。しかしその目は細くなっている事が多い。なぜなら彼は常に
笑顔だからだ。ある日、絶やさない事を決意した笑顔が太陽のように今でも輝いている。
 その時、ザム・地上仮設都市で小さなパン屋の手伝いをしていた。地上仮設都市とはつまり、未だ完全に都市として
活動しておらず、まだ開発段階の地域の事だ。そう言った場所には飲食店が集中する。労働力が最も必要としている
のは動力、つまり食料だからだ。
 手伝っていたのは老夫婦とその孫達で運営されているパン屋で、彼はそのバイクを使い主に配達をしていた。
 そして配達の時、彼は老人に出会った。老人は彼のバイクの塗装とエンブレムに興味を持ったようだった。
「ナインボールか?」
 老人は挨拶も無しに自販機で買ったジュースを飲んで休んでいた彼に話し掛けた。
 薄くなった短い白髪、老眼眼鏡であろう分厚いレンズが彼が高齢であろう事を伺わせる。しかしシャツの下の腕は太
く、目つきは鋭い。
「ええ、そうです。でもただの趣味ですよ。意味自体は無いんです」
 彼は極めて気さくに返した。しかしACに対して悪いイメージを持つ者は多く、その中でもナインボールは有名過ぎた。
悪い趣味だと言うものも多い。
「……レイヴンか?」
 一瞬彼は何を言っているのか分からなかった。しかしそれに対してこう言うのだ。そしてそれが今の状況を作りだして
いる。
「まさかぁ! そんな訳無いじゃないですか。まあ、なりたいとはずっと思ってるんですけど」
 彼がそう言うと老人は小さく笑うのだった。

 更にしばらく進むと大きな十字路近くに青い制服を着た、彼とさほど見た目の歳が変わらない若い男が立っていた。
その制服の肩部分には六角形を寄せ集めたような模様があしらってある。それはコンコード社の運営するネットワーク
上の傭兵斡旋組織、ナーヴスコンコードのシンボルだ。

 ナーヴスコンコードとはレイヴンという傭兵をサポートする役割を持った比較的小さいネットワーク組織だ。コンコード
社によって運営され、レイヴンの殆どはその管理下にある。依頼の提供、移動方法の手配など企業とレイヴンの媒体
として機能しており、当然ただの善行団体などではなく利益を優先しているあたりは他の企業と同じである。ただ、他の
企業との勢力争いには消極的で、あくまで他分野でその地位を確立するのが目的のようだ。そして青年のような新人を
発掘するのもその役割である。

「すいませーん」
 彼が遠慮無く大声で作業員らしい男に声を掛けた。地下都市と言う閉鎖空間ではその声はあまりに大きく、通りかか
った者の何人かが振り返るほどだ。
 若い作業員はその大声に振り返った。見れば田舎臭い若い男が見た事も無い大型バイクを引きながらこちらに向か
っている。そのバイクの大きさに面食らいながらも作業員は平静を装って答えた。
「はい。なんでしょう」
「レイヴンになりに来たんですけど、どこに行けばいいんですか?」
 彼は笑顔で答えた。しかしあまりにも脈絡が無い言葉でもあった。
「え?」
 この短絡的で分かりやすい質問が逆に若い作業員は声をあげてしまった。彼が現地での仕事を任されたのはこれが
始めてである。したがって彼は偏ったレイヴンというイメージを持っていた。したがって目の前の若い男には驚かされ
た。
 彼は茶色のフリースにジーンズとあまりにも<普通>な格好で、少なくともこれからレイヴンになろうという人間にはと
ても見えなかったのだ。
「身分証明書は? えっと、見せてください」
 やはり簡単には信用出来ず、若い作業員はその証明を求めた。しかし彼は特に動揺する様子も無くポケットの中を
探り出した。
「バイクの免許書ですけど」
 そしていいですか、と財布の中からカードを取り出し男に渡す。本人は作業員が動揺しているのに気付きもしない。作
業員はカードを受け取ると、携帯電話を取り出しどこかに確認を取り始めた。やはり完全には信用し切れないようであ
る。確認が取れたようで男はカードを彼に返すと、手招きした。
「こちらです。ロジャー・バートさん」
 ロジャーがその作業員に着いていくと目的地がすぐに分かった。建物を曲がるとビルほどの大きさがありそうな大型
キャリアーリグが待機していた。



 いつからか俺はレイヴン適応テストの監査役として参加する事が多くなった。レイヴンになったときの記憶が戻るかも
しれない、そんな理由から。しかしまあ、おそらく戻る事は無いだろう。
 気付けばレイヴンだった。笑い話にしかならない。調べてみてもなにも出て来ないのはナーヴスコンコードの機密性の
高さゆえか。レイヴンとしては信頼したいが、俺個人としては冗談にならなかった。
 キャリアーリグ。ここはそういう乗り物の内部だ。乗り物と言っても元は兵器だ。
 そもそもリグ、という兵器であった。それは言ってみればACを更に完全に兵器に近づけた物、と言えばいいだろう。
人型って言うややこしい規格を捨てた、しかしAC同様パーツの互換を最重要としたものだ。
 だがこのリグは十数の互換パーツを製作した地点で未来が断たれた。このリグ、造ってみればAC以上に複雑だった
わけだ。見た目は戦闘機に毛を生やしたようなもの、そして当時は不完全だったディーンドライブによって移動し、マニ
ピュレーターまでついてる。詰め込み過ぎた結果、予想以上の積載能力不足、拡張性の限界が指摘された。人型の限
界を見越しての非人型だってのにこれじゃ笑い話にもならない。
 そして今ではリグはある程度互換性を持ったでかい<何か>に過ぎない。基本フレームに火器を搭載すればコンバ
ットリグ、格納庫を搭載すればこのキャリアーリグってわけだ。その他はよく分からん。今ではキャリアーリグで一つの
名前だと思ってるやつもいるくらいだからな。そう言えばずっと昔にACどころか兵器という枠を超えたとんでもないリグ
が造られた事があるとかいう話を聞いた事がある。ウェンズディ機関だったか?まあいい。どうせ作り話だ。
 俺はそのキャリアーリグの格納庫の踊りにいる。手すり越しに格納庫全体が見渡せる眺めの良い場所だ。多分落ち
たら死ぬだろうが。
 その目の前に俺の相棒がいる。常に喪服を着込んだタフガイだ。
「わあ、わあ、わあ!ほんとにACだ!」
 いきなりの大声とともに一人の男が俺のACに全力疾走していた。やや白っぽい茶色の髪が印象的の若い男だ。い
や、まだガキか? 手すりから落ちるか落ちないか位のところで身を乗り上げ、触ろうとさえする。なんだ? こいつは。
「すごい! でっかい!」
 その後を追うようにしてこれまたガキみたいな作業員がそいつを取り押さえた。
「ちょっと! バートさんはこっち! あんた話聞いてないでしょ!」
 ……まさかあいつが今回のテストレイヴンか? とんだ田舎者だ。訂正を入れたってのに、相変わらず俺の相棒を食
い入るように見ている。……つーかこんな所で何してんだ?
「テストレイヴンか?」
 このままでは今にもしがみつきそうな勢いなので声を掛けてやる。分かってはいるがこの話題から入るのが無難だろ
う。この作業員が振り回されて転落死しない内にな。
「え? あ、はい」
 ACから目線を俺に向けて驚いた顔を作る。俺に悪人面に凍り付くかと思ったがそんな様子は無い。意味も無く笑い
やがる。
「だったらまずはブリーフィングだ。ここにいてもしょうが無ぇ」
 とりあえず説明してやった。こっちの作業員の方は頼りないからな。
「このACが俺のですか?」
 ……聞いてんのか?
「あなたのですか?」
 これ、とつけたし男は俺のACを指差す。ここは格納庫に直結しており、ACと目が合う位置に存在している。目が合う
と言っても今ACは屈んだ状態だがな。
「ああ、デスズブラザーだ」
 俺は目の前の漆黒のACの頭を撫でながらこいつの名前を教えてやった。例の如くいつの間にかついていた名前だ
が気に入っているので気にはならなかった。
「俺はロジャーです。ロジャー・バート」
 そのお返しか、バートと名乗った男が手を伸ばす。握手でもするつもりだろうか。なんとも人懐っこい性格だ。笑顔が
絶えないとはまさにこの事だ。話して少ししか経って無いが笑っている顔しか想像できない。しかし、握手する理由は無
かった。
「テストはすぐだ。それまでに詳しい話を聞いてこい」
「あ、そうですね」
 そいつは伸ばした手を引っ込めたが、とくに気にしている様子は無かった。あまり、物事を深く考える性格じゃないん
だろう。
 安心したのは作業員の方だ。これで何とかなるとでも思ってるんだろう。後はお前に任せるよ。お前はちゃんと仕事を
しろ。



 そしてその男はどこかに向かい、そこから去っていった。
 見た目よりも話し易い人物らしい。2メートルはありそうな長身に、自分もACと同じ黒ずくめ、髪もつやも無く黒い。な
により右頬の大きな切り傷が目を引き、どう見ても悪人面に属する。しかもサングラス越しとは言え終始無表情で感情
を読み取る事が出来なかった。見た目に年齢は30代半ばと言ったところか。しかし無表情のせいで顔には皺が少なく
若く見える。
「あの人は?」
 ロジャーはあの人物が何者かと作業員に聞いた。
「ああ、監査役の人。あんたが死んだら仕事を引き継いで、後はあんたが逃げたりしたら撃墜する人」
 それに作業員はロジャーの袖を引っ張りながらさらりと答えた。
「あ、つまり先輩。あの黒いの強そうだもんな〜」
 しかし内容を十分に把握しているのかしていないのか、ロジャーは感心したような言い方だった。これには若い作業
員も呆れたようだった。
「ポール」
 不意に、彼らの背後から女性の声が掛けられた。しかしその声は力強く、ロジャーは実際に軍人である女性に会った
事は無いが、もし会ったとしたらこんな感じの声だろうと思った。
 二人が振り返ると案の定そこには女性が立っていた。作業員と同じ青い制服を着ているため、おそらく同僚だろう。
二人に比べ当然背丈は低いが十分威圧的な気配を漂わせていた。
「何してる。もうあまり時間は無いぞ」
 まるで男性のように低く強い口調だった。ロジャーはその様子に感心したが、ポールと言うらしい若い作業員は怯えて
いるように見える。
「だって先輩。この人が勝手にあっち行ったりこっち行ったりして……」
「言い訳は止せ。君が……ロジャー・バートか?」
 彼の言葉を早々に切り上げさせ、彼女はロジャーに向き直った。彼女は鋭い目線を送るがロジャーは笑顔でそれを
受け流した。
「はい、よろしくお願いします」
 彼は素直に挨拶をした。あまりに素直なので彼女は瞬間気が抜けたようだが、すぐに表情を硬くしてずっと持ってい
た辞典のように分厚い本をロジャーに渡した。
「へっ?」
 すぐにはこれが何なのかを理解出来ずに彼は間抜けな声を出した。受け取ったそれは見た目通りずしりと思い。
「それにはACの操作方法が記してある。必要な事から特に必要無い事まで。30分以内に覚えろ」
「え? でもブリーフィングがあるって」
 彼女が言っている事に、話が違う、とロジャーは説明を求めた。しかしそれに答えたのはすぐ横に居るポールだった。
「ほら、あんたがあっちこっち行ってる内に説明の時間終わっちゃったんだよ」
 そして笑うが、彼女に睨まれすぐに小さくなってしまった。
「30分ですか?」
 それに構わずロジャーは今し方言われた、残された時間を確認した。腕時計の長針はちょうど30分地点を指してお
り、やはりこういったものは時間通りに進むのだろうかと感心した。
「30分だ。多く見積もってな」
 彼女はそう答えた。
 ロジャーはもう一度自分が持っている物を見た。時間があまりありそうに無い。



「着づらいな……」
 ロジャーは備えてあったパイロットスーツに袖を通しながらぼやいた。ここにあるスーツは勝手に着て良いらしいが、
ロジャーは着慣れないスーツに四苦八苦していた。しかしパイロットスーツは耐熱、耐衝撃など、戦闘兵器に乗るのに
は大事な要素を持っており着ないわけにはいかなかった。
 そこはロッカールームだった。やはり移動手段であるリグにはそれほど余裕を持った空間は無く、そこは狭い。奥行
きのある空間は前後二列のロッカーに挟まれ、更に狭いものへとなっていた。
 彼が普段着るスーツと言ったら肩や肘にパットの入ったバイクスーツや、雨の時に着るレインコートくらいだ。しかしこ
のパイロットスーツというのは上下の一緒になったツナギのようなもので、こんな衣服を着るのは初めてであった。
「これで良し!」
 赤と黒のパイロットスーツのベルトを締めて体に安定させる。そして着終わると早速マニュアルを再確認した。テスト
前に教科書を広げるのはここに来ても同じだな。そんなくだらない事で笑いがこみ上げてくる。
「そろそろだぜ」
 ノックもせずに更衣室に先程の長身のレイヴンが入ってくる。
「あれ? パイロットスーツ着ないんですか?」
 ロジャーはすぐに気付いた。自分がこれだけ苦労してスーツを着たというのに、レイヴンを本職とする彼は先程の黒
尽くめの服装のままなのだ。
「俺は見てるだけだからな」
 そう言いながらロッカーを開け、そこから黒いオーバーを取るとそれを羽織った。そして力任せにロッカーを閉める。
それは閉めると言うよりも叩き付けるという表現の方が正しいようなものだった。
「ち、ちょっと! 待ってくださいよ!」
 詳しくリグの中を知らないロジャーは長身のレイヴンの背中を追った。かなりの大きさのリグも殆どがACの格納用ス
ペースに使われるとなると、自然と通路は狭く、複雑になる。誰かの後をついて行った方が確実だろう。しかし歩幅の差
は如何ともし難く、長身のレイヴンを追うテストレイヴンは殆ど小走りの状態だった。
「どこに行けばいいか分かるんですよね?」
 とりあえず聞いてみる。一応彼も一緒に出撃するのだから目的地は同じはずだ。
「ついて来るな。ウゼぇ」
「でもここん中よく分かんないんですよ」
「俺は煙草を吸いに行く。格納庫はここから180度逆の方向だ」
 ロジャーは動きを止めるしかなかった。
「え?」
 しかし、最初から目的が違うようだった。
「ACのところに行くんじゃないんですか?」
 ロジャーがそう言うと長身のレイヴンは向き返った。その顔は例の如く無表情で何を考えているのかがまったく分から
ない。
「坊主は道を引き返してまっすぐ行け。そうすりゃ格納庫だ」
「あ、はい」
 ロジャーは言われた通り道を引き返した。そして真っ直ぐ行くと一分も立たないうちに格納庫に着いた。意外に近いと
ころにあったが、あのままだったら間違い無く道に迷っていただろう。
 そこはとても広い場所だった。しかし同時に狭くも感じられる。なぜならその比較対象となるのが巨大人型兵器である
ACであったからだ。
 手前には先程見た漆黒のACが膝を折り佇んでいた。そしてその奥には金属色に煌くACが一機、同様に佇んでい
る。
 その巨大なACに見惚れていたロジャーを確認した整備士らしい男が近づいてくる。結構年配の人物らしく、顔のいた
るところに皺が刻まれている。青い制服とは違い、個人の物であろう象牙色の帽子からは短い白髪が見て取れる。
「テストレイヴンだな」
「あ、はい」
 その整備士に声を掛けられ、ロジャーは気がついたように返事をした。
「これまた……」
 田舎臭いのが来たな、と言う言葉をその整備士は飲み込んだ。この男もレイヴンになろうとする者なら心に何かぎら
ついたものがあるのだろうと警戒したのだ。そういう人間を挑発するのは得策ではない。
「あの、よろしくお願いします」
「ん? ああ」
 若いテストレイヴンは彼に笑顔を向けると普通に挨拶をした。あまりに普通にである。
「まず、お前が乗るのはあの銀色だ。塗装もされてねえし安いパーツだけで出来てる。見た目通り安物だ」
 年配の男は順番に指を指す。最初に指さした金属色のACがロジャーがお世話になるACらしい。塗装が為されてお
らず、目立つ武装も無い。彼の言うとおり見るからに安そうだ。
「どうすれば乗れるんですか?」
「ついて来い。歩きながら教えてやる」
 そういうと年配の整備士は歩き始めた。その体はまったく衰えていないようで、歩く速さはロジャーとあまり変わらな
い。
「コックピットはコア、胴体にある事ぐらいはわかるよな?」
「はい、それぐらいだったら本読んですぐに分かりました」
「だがコアによって搭乗方法はまちまちだ。特にこれからお前が乗るやつはややこしい。って言っても俺達整備士にとっ
てだが。コックピットを開けるのは俺達の仕事だ。お前は乗ればいい。まあ、基本はそれだけだ」
 整備士がそう早口でまくしたてるのでロジャーは不安を感じた。初めてあのバイクにまたがった時の感覚に似ている。
人は誰でも未経験の事に対しては弱気になってしまうものだ。特に今回のような命の掛かってる場合は尚更慎重にな
ってしまうのは当然だ。
「心配する事無ぇよ。見れば大体分かる」
「ならいいんですけど……」
 難しい事を言われるのも困ったものだが、あまり割愛されるのも困ったものだ。しかし、彼の言っている事が間違って
いるわけでなく、実際ACのコックピットの開閉は基本的に内側からしか出来ず、外側から開けるためには彼ら整備士
の協力が必要だった。
 ACのすぐ間近に着く。ロジャーはその大きさに改めて感激した。先程はACの頭と同じ高さの位置に居たので気付か
なかったが、二体の二脚ACは膝を折り身を屈めており、実際はこれより更に高い。コアの背中部分にはバランサーが
作動していないACを安定させるハンガーが取り付けられており、それも同様に巨大だった。二機のACの下は大きな
影が出来ており、夏の直射日光を避けるには十分すぎる余裕があるだろう。
「乗れ」
 年配の整備士はまだ降り切っていないリフトを見ながら言った。それには先程道を案内してもらった若い作業員のポ
ールが乗っており、どうやらリフトを操作しているらしい。
「コックピットのところまで運んでくれる」
「はい」
 降り切ったリフトの手すりを握りながら、ロジャーは向き直り、今まで通りの笑顔を年配の整備士に向けた。
「ありがとうございました。俺頑張りますよ」
「あ……お、おう」
 テストレイヴンに初めて言われた御礼の言葉に対し、年配の整備士は間抜けな返事しか出来なかった。若い作業員
もその言葉に思わず振り返る。しかし、それからの進展は無かったので若い作業員はリフトを上げ始めた。
「何階ですか?」
 ポールは笑いながらロジャーに聞いた。リフト上昇による重量の増加を二人は感じた。
「3階の紳士服売り場までお願いします」
 ロジャーも笑いながらそれに答えた。それを聞くとポールも笑い、二つの笑顔を引き連れてリフトは上昇して行く。
 リフトはゆっくりとコックピットに近づいてゆく。コアの装甲がまるでブロックがめくれ上がった様にいくつかの塊に別れ
ており、中からコックピットがせり上がっていた。しばらくするとリフトは停止し、わずかな振動が残る。目の前にはロジャ
ーが今まで幾度と無く夢見たコックピットが新しい主の搭乗を待っていた。
「なんか久しぶり……。あ、これ持ってっていいですよね?」
 ロジャーは手に持った分厚い本を若い作業員に見せた。そして彼が首を縦に振るのを確認すると、コックピットに飛
び乗った。シートに身を収め、シートベルトを絞める。持ちこんだマニュアルを見ながらACの電源をオンにした。
『システム、通常モード、起動』
 その機械音声と共にコックピット内にジェネレーターの機動音が響き、機械が目を覚ますように起動を開始する。コッ
クピットがコアに収まり、装甲が再び形を成すように鉄のブロックが重なり合い接続部分に収まる。
 外部からの音が遮断されるが、それはすぐにACの聴覚に置き返られた。計器の緑色の光だけの薄暗いコックピット
のメインモニタも遅れて起動し、そこからの映像はまるで自分がACになったような錯覚を覚えさせた。視界に少し緑色
が入っているのは計器のせいだろうか。
『少し待ってな。すぐに目的地だ』
「あ、はい」
 コックピット内に置かれていたヘルメットに通信が入り、ロジャーはそれに驚きながらも応えた。外部との繋がりがある
というのはACに乗るのが初めての不慣れなロジャーにとって安心出来る事であった。
 ロジャーはアニュアルの初期機体説明を読みながらこのACの特徴を頭にイメージしていた。
 初期機体が通常のACに最も劣っているのは、動力源、ジェネレーターである。そしてそれに合わせるように低出力の
ブースター。その機動力はまるで重量級だ。更に持久力も無い。基本的には中量二脚タイプだが、廉価パーツだけで
構成されているためその汎用性は殆ど無い。言ってみれば軽量二脚タイプから機動力を取り去ったようなものだ。
 その中、コアだけは高性能のパーツとなっている。企業の設定した数値上のデータでは劣るが、ミサイル迎撃機銃と
単純な装甲の厚さからくる信頼性、更にはオーバードブースターの使用を最重要視して設定されたためその性能は群
を抜いている。今では時代遅れの感もあるが未だにレイヴンのシェアはトップというエムロードの傑作パーツだ。何より
10年前、彼の父親のAC、フエーリアエと、敵を全滅させた銀色のACが装備していたパーツである。
 そして武装は三つ。肩には2連小型ミサイルランチャー、右手には標準型のライフル、左腕には低出力のレーザーブ
レードである。単純に火力不足と言えるだろう。威力と弾数のバランスに優れるライフル銃も、瞬間的な火力を考えると
正しく廉価パーツと言えるだろう。ミサイルはそれに比べると爆発するため威力に優れる。しかしそれを発射する火器
管理システム、FCSはとてもミサイルの連射に耐え得る物ではない。唯一安定した威力を発揮する低出力ブレードも、
ACの出力の関係上、敵に接近した地点で使用不可能になっている事もあるだろう。
「あんまり……、強くないのかな」
 薄暗がりの中でマニュアルを読んでいるとメインモニタの光が走り、警告音のような音が鳴り響いた。見てみれば隣
に並んでいた漆黒のACが動き出していた。どうやら彼も乗りこんだようだ。
 彼のAC、デスズブラザーは重量二脚ACだった。まだ持たされていない右腕武器は分からないが、全身が重装甲に
覆われ、その背中に装備された武装も、グレネードランチャー、六連中型ミサイルランチャーと強力なものだった。ま
た、左腕には3基のレーザー発生装置が搭載された高効率ブレードが搭載されている。また頭部の光学カメラを保護
するバイザーが光学カメラの放つ赤い光に彩られ、漆黒のACにアクセントを持たせていた。
 しばらくすると、格納庫が騒がしくなり始めた。天井がシリンダーによって持ち上げられ高くなる。次にACの背中に接
続されていたハンガーがACを持ち上げ、曲げられていた膝が伸び、地に脚が着いた。次に右腕武器がロボットアーム
に運ばれ、それがACの右手に握られる。更に格納庫のACに対し、正面の部分が開く。整備士が作業するために明る
くされている格納庫と違い、その先にある地下都市は僅かに電灯が点いているだけで暗く、まるで別世界だ。どうやら
すでに廃棄されているらしく人気もまったく無い。
『目的地に着いた、出撃してくれ』
 コックピットにヘルメットから発せられた女性の声が響く。それには聞き覚えがあった。確か自分にこのマニュアルを
渡した人物であろうとロジャーは納得する。
 ロジャーは指示通りに出撃するためにヘルメットを被る。それよりも先に漆黒のACは移動を開始していた。暗闇の中
に漆黒のACが溶け込んでいくようだった。



「どうやらこの倉庫だ」
「みたいですね」
 ACに搭載されたマッピング機能からこの倉庫が攻略ポイントだと分かった。倉庫の中では巨大な部類に入るだろう。
その扉はバリケードで囲われており、侵入者を拒んでいた。
「さっきも言った通り俺は見てるだけだ。坊主のノルマは倉庫で篭城している敵戦力の殲滅。戦力はほとんどがMTだ。
7機、大した戦力じゃない。ACをまともに操縦できれば負ける事は無い。もちろんまともに動かせなければそいつはお
前の棺桶に早変わりだ。もちろん墓参りに来るやつはいない。そうなりたくなかったら死ぬな」
 突き放した言い方だか、監査役としてはこれ以上言う事は無いだろう。言い終わるとデスズブラザーはブースターを使
い後退を始めた。
 ロジャーは直前まで読んでいたマニュアルを閉じると操縦を開始する。レーダーにはデスズブラザーの存在を示す反
応があるが、まずはバリケードの破壊だ。
 バリケードに機体を近づけさせるとレーザーブレードを発生させる。弾丸を消費させないためには当然の事だ。それ
を横に払う。バリケードが赤熱し次々と吹き飛んで行く。あっという間にすべてのバリケードを破壊し、扉だけが残る。ど
うしようかと考えていると、ひとりでに扉が開き出した。重い物を引きずる音が響き、その隙間から大量の弾丸が飛んで
きた。
 いきなりの攻撃にロジャーは被弾しながらも倉庫の影に隠れる。ブースターの出力に戸惑ったが、直撃は避けること
が出来たようだ。
 とりあえず扉が全開するのを待つ事にした。おそらくこの扉の開閉は相手のコントロールだ。開き切っていない状況で
突っ込みでもしたら挟まれかねない。
 しかしACの装甲のすさまじさにロジャーは感心した。通常の兵器ならば即座に間に破壊されていたほどの弾丸が注
がれたというのに、このACは余裕を持って耐え切ってくれた。これならば多少強引でも強襲が可能というものだ。ロジ
ャーの頭に浮かんだ戦略もそれに準じたものだった。
 扉が完全に開くとロジャーはブースターを全開にして倉庫に侵入する。そして壁際を背にしながら倉庫内を滑るように
移動してゆく。こうすれば背後から攻撃される心配は減る。機体の安定に手間取っているが、まずは一対一に持ちこめ
る場所まで移動するつもりだなのだ。
 その間も銃弾が容赦無くACの装甲を叩く。このACには機銃を十分に出来るほどの機動力は無く、ロジャー自身回
避できるほどの技術も無い。
 その攻撃を放っているのは砲台に鳥の脚がついたようなMT、ワイルドグースだ。機銃の他にもサブウェポンであるロ
ケットランチャーを搭載し、こちらはACにも十分な威力を発揮する。
 倉庫のコンテナに隠れながらロジャーはレーダーを確認する。敵を意味する赤い点が七つ、微妙に動きながらこちら
に近づいてくる。ただし、レーダーと言ってもコンテナの陰に隠れているため確実とは言えない。
 消費され残り少なかったコンデンサ容量が満タンになった。ロジャーは深呼吸し、ACの操作方法を頭の中で復習す
るとブースターを出力し一気にコンテナから身を乗り出す。目の前にはコンテナから回り込もうとしたワイルドグースが
突然の事に機銃を連射していた。機銃からは複数の火線が伸び、薬莢が滝のように吐き出されている。
 その攻撃を無視し、トリガーを引き右手に持たされているライフルを発射する。ワイルドグースの薄い装甲はライフル
弾が命中するたびに空き缶の様に大きな窪みを刻む。五発目が命中したところで機銃部分に大穴が空き、ワイルドグ
ースは沈黙する。
 どくん
 その瞬間ロジャーの心臓が大きく跳ねた。なんだ、と動悸を抑え、冷静になろうと自分に働きかけた。
 とりあえずコンテナの影に隠れようとしたが、ロケット弾が右膝に命中し姿勢を崩した。ロケット弾は性質上命中率は
低いがACにも十分なダメージを与える事が出来るだろう。
「やば……」
 ブースターを出力させ、とっさにジャンプする。ライフルを数発命中させれば倒せる相手と言っても、攻撃を受け続け
て良いわけでは無い。先程のロケットならば尚更だ。
 回避しながらライフルを発射する。トリガーに指を掛けたままの乱射だ。無駄撃ちもあったがそれはワイルドグースの
腰部分に着弾し、動作不良を起こしその場に倒れ込んだ。
 どくん
 再び動悸。途端息が苦しくなり操縦桿を握る手から力が抜ける。当然ACは動きを止め、攻撃の雨にさらされた。
 深呼吸を繰り返す。分からない。何故こんな時に。一体何なんだ。
 気力を振り絞り再び操縦桿を握るとトリガーを引いた。弾丸が硝煙と共に銃身から吐き出され、それがワイルドグー
スの細い脚を捉えた。膝が折れ、大きくバランスを崩したワイルドグースに更に弾丸を撃ち込む。しかしそれは湾曲装
甲に弾かれ、大きなダメージにはならなかった。それでも無力化したのは確かだ。ロジャーはそのMTを無視して弾幕
を避けながら弾丸を連射した。
 発射された弾丸の数だけ薬莢が飛び出し、金属音を鳴り響かせる。そしてその薬莢のちょうど40個めが金属音を鳴
り響かせたところでレーダーからは反応が消えていた。
 ライフルの残弾は144発。使用していないミサイルランチャーはフル装填、同様に使用していないレーザーブレード
は最大出力を約束されている。ディスプレイにはライフルを連射し、更に機銃を受けた右腕が危険な状況であり、機体
全体が装甲を超えて内部機構がダメージを受けている事を示していた。実際、着弾による衝撃は装甲に吸収されてい
たはずが、装甲間のリアクティブ機能が働かなくなってきている。余裕は無い。
 ディスプレイにはもう一つ、数字が表示されていた。撃墜確認数6。監査役のレイヴンに言われていた敵機数は7機
のはず。レーダーには反応は無く、今ではレーダーは閉鎖空間ならば電磁波を乱反射させ、小さな障害物を越えて敵
機を確認するに至っている。そうそう見逃すはずは無い。
「どこだ……?」
 レーダーには未だ赤い点は表示され無い。赤とは同高度を意味する。青は上、黄色は下を表し、レーダーだけでも敵
の大体の位置がわかるように工夫されているのである。とりあえず武装を肩の小型ミサイルランチャーに換え、より遠く
の敵を認識できるようにした。
 突然の衝撃がACを揺らす。カメラを回し、周囲を確認すると左方向から金色のMTが銀箔を纏いながらコンテナを飛
び越え、両肩からミサイルを発射していた。
 銀箔が電磁波を乱反射し、レーダーから姿を隠していたのだろう。そして銀箔はおそらくコンテナに内蔵されていたも
のだ。
 その金色のMTはワイルドグースではなく、人型MTタービュレンスだ。AC同様にブースターによる高速移動が可能で
あり、多くのバリエーションが存在する。また、武装もパルスレーザーライフル、デュアルミサイルランチャーが標準装備
されている。全身が金色に塗装され、まるでリーダー機である事を誇示しているようだ。
 タービュレンスがミサイルを発射する。ロジャーはそれを回避しようとするがブースターの出力が安定せず胸部に直
撃した。コックピット大きく揺れるのを無視してミサイルランチャーのロックを開始する。軽い電子音がロックオンの終了
を知らせる。二回目のロックを確認するとミサイルを発射させるが、それは敵MTに向かうことなく有らぬ方向に飛んで
いってしまった。
 倉庫の中が暗く良く分からなかったが、空中に黒い物体が浮遊していた。デコイである。擬似目標信号を発しミサイ
ルを引きつける特性を持ち、ミサイル攻撃から身を守るための特殊兵装である。タービュレンスが背部ラッチばらばら
と撒き散らしているのだ。
 ミサイルは使えない、ライフルで応戦しているが、このままでは、先程のダメージが残っているロジャーに勝ち目は無
い。となると強力な一撃で決めるしか無い。ロジャーは確信していた。左腕に装備されたレーザーブレードである。しか
し、あちらもブースターによる高速移動が可能な以上、簡単には当たらない。しかし、エネルギーを消費するのならばい
つまでも飛んで入られまい。着地の隙を狙い叩き込むのである。
 しかし、敵もロジャーの狙いを悟っていたようで距離をとって着地しようとしている。だが、ロジャーにはもう一つの閃き
があった。第二次ACの第二次ACたる由縁、オーバードブーストである。
 タービュレンスが着地した。倉庫に散らばる破片が飛び散る。
 オーバードブーストが起動する。するといきなり全身が押しつぶされたように強い衝撃を受けた。後頭部がビリビリと
痺れる。コックピット内が蒸し暑くなり、目が乾く。それでも目の前の敵にむかって急速に近づいていく。しかし、ロジャー
にはそれがとてもゆっくりに感じられた。なぜか意識がはっきりしてくる。体はまるで夢のなかのように重いが、信じられ
ない事に体の反応は遅くはならない。
 タービュレンスもこちらの動きに気付き、まだ動けないながらもパルスライフルで反撃する。ロジャーは機体を左右に
振りそれを回避し、レーザーブレードを一閃する。ブースターによる加速も相成り、その威力は本来よりも強化され、M
Tのチタン装甲を貫いた。爆発はせず、MTはその場に倒れこんだ。
 機体を停止させる。それもコックピットに大きな振動を与え、シートベルトをしたロジャーの体を大きく揺さぶったがそ
れもすぐに収まった。くらくらする頭に鞭打ち、周りを見渡す。タービュレンスはもう戦えないだろう。コックピット部分がゴ
ッソリ無くなっていた。
 どくん
 それを見ると今までで最も酷い動悸がロジャーを襲った。一瞬目が眩む。それを抑えようと何度も深呼吸を繰り返す
が心臓が痛いほどに激しい運動を繰り返していた。胸を叩く。すると静かに動悸は治まっていった。
 シートに深く埋まる。体中に疲労感が広がる。自分が戦ったわけでも無いのに不思議な気分だ。しかし戦ったACは間
違い無く疲れているらしく、気付けばオーバーロードを告げる警告音がうるさく鳴り響いていた。
「その分なら……大丈夫だよな?」
 いつもの笑顔で自分の新しい相棒を労わる。しかし実際にはあまり大丈夫とは言えない。残弾はまだ多く残っている
が、装甲は限界が近い。続けての戦闘は無理というものだ。そしてロジャー自身も……。
『死んでないな?』
 再び深呼吸をすると、その事を知るよしも無い監査役のレイヴンから遠慮無い通信が入ってきた。ヘルメットに直接
送られる音声は明らかな重低音だった。
『試験は終了した、ってところだ。だが増援が確認された。坊主はすぐにリグに戻れ』
「増援? 敵は倉庫の中だけじゃなかったんですか?」
 ロジャーは予想外の言葉に聞き直す。今の状態では無事に帰れるとは限らない。
『この地下都市全体が隠れ家なんだろ。詳しくはこれからだ』
『敵戦力の詳細を確認した』
『ほらな?』
 デュライの言葉を引き継ぐように女性の声が割り込んだ。
『ワイルドグース18、タービュレンス級3、結構な大部隊だ。こちらの動きには気付いていたがどうやら数を集めていた
らしい。ロジャー・バートはすぐに戻れ』
「あ、はい」
 ロジャーは素直にうなずく。戦闘が無理なのは承知しているらしい。
『俺もか?』
 そんな事無いだろ? と言いたげに監査役のレイヴンはオペレーターに問う。
『いや、敵戦力を殲滅してくれ。MT一機につき1000コーム出すと上も言っている。もちろん更なる増援を叩いても報
酬は出す』
『悪くない。さて、仕事だ』
 その言葉を最後に監査役のレイヴンは無線から姿を消した。それを追うように女性オペレーターも無線を切った。
 ロジャーはもう一度深呼吸をして息を整えると倉庫入り口へと向かう。するとちょうどそこには漆黒のACが眼を爛々と
赤くぎらつかせ、ブースターによって高速で移動しているのが見えた。その先には何があるのか。想像するのは怖い気
がするのだった。



 MTは全部で21機。全機破壊によって21000コーム。元の報酬が5400コームだから滅多な事では赤字にはなら
ないだろう。移動中もそんな計算が絶えない。彼はレイヴンである事に疑問を持っているが、その性格はレイヴンその
ものだ。
 レイヴンには常に冷静である事を必要とされる。なぜなら単機での戦闘が殆どであり、また相手が複数である事も殆
どだからだ。確かに相手が量産型のMTであればその火力の殆どはACの装甲によって無力化される。しかし弾丸を浴
びればそれが急所に着弾する確率も皆無では無い。その結果片脚でも命令を受け付けなくなればそのACの戦闘能力
は大きく低下する。その場合でもACの戦闘能力を駆使すれば量産型のMTならば十分対応出来る。しかしそれも通常
通りACを操作できる場合に限る。混乱してしまえばACをうまく扱えるはずが無いのだ。
 推進を切り、歩行によって建物の曲がり角まで向かう。更にビルを曲がると奥で何かが動いているのが分かる。ワイ
ルドグースの照明がゆらゆらと辺りを照らしていた。
 彼は一瞬待ち伏せを警戒したがどうやらこちらを察知していない。レーダー機能が貧弱なのはACに比べ電子性能に
劣るMTならばしょうがない。しかし彼のデスズブラザーの頭部に内蔵されたレーダーもその相手を捕らえられないでい
る。
 レーダー外。距離400。
 彼は軽く見積もりを立てるとデスズブラザーにグレネードランチャーを展開させる。まだFCSによってロックできる距離
では無いが相手は鈍間なMTだ。砲身を垂直に。目標はMTのライト。レーザー照射。レーザーサイトを左右に調節。推
定距離380。トリガーを引く。
 甲高い音とともに砲身から高熱砲弾が吐き出される。そしてそれはまっすぐにMTの群れに飛びこみ、信管が作動、
内蔵されていた爆弾が炸裂した。
 直撃を受けたワイルドグースは粉々に破壊され、その周りにいたワイルドグースも爆炎に飲み込まれ、吹き飛ぶ。
『何!?』
 目の前にいきなりあらわれた爆炎から、タービュレンスの機動力によって逃れた部隊長は目を白黒させた。まさかあ
の距離からの攻撃は無いとたかをくくっていたのだ。更にモニターも強力な光で焼きつき、文字通り白黒となった。
『被害は!? 残りは何機だ!』
 爆炎に晒されタービュレンスのレーダーユニットは脱落し、部隊長は無線で喚き散らした。
『分かりません!』
 実際はタービュレンスに乗る部隊長と、ワイルドグースに乗る部下が一人残っているだけだったが、二人は殆どパニ
ック状態だった。しかも先程の爆発が両機の光学カメラを一時的に使用不能にしてしまい、レーダーからしか周りの状
況を把握する事は出来なかった。しかしタービュレンスはレーダーが使えず、ワイルドグースのレーダーなど性能の低
さは量産機らしいものだ。しかし、それでも容赦無く追撃が迫る。白煙の中からミサイルが姿を現したのだ。
 2基がワイルドグースに着弾、爆発し、悲鳴をかき消した。砲台部分が吹き飛び、脚を残して黒煙に埋もれた。
 休まることなく次のミサイル攻撃がタービュレンスに迫る。弾速から内蔵されている火力は強力である事は明白だ。
『2基!?』
 部隊長は機体を上昇させ、ミサイルを回避しようとするが、それよりも早くミサイルが着弾する。連続で続く衝撃に恐
怖しながらも機体を安定させ、スラスターを使い着地しようとする。
 しかし、その途中で目が合ってしまった。全身が黒い。だからその目はますます赤く見え、不気味だった。そして完全
に着地した時その圧倒的な巨体に見下ろされ、心臓が止まるような寒気が全身を貫く。
 悪魔!
 声にはならなかった。
 悪魔の左腕から赤い光が伸びた事に気付いた時、彼はすでに口が聞ける体で無くなってしまっていたのだ。
「ワイルドグース6、タービュレンス1。倉庫の中身と同じか。これで一部隊ってわけだな」
 この狭い都市街で数を揃えたのが失敗だったようだ。機動力が低いMT達にとって部隊を組んだところで集団自殺を
行うようなものだ。特に炸裂兵器、グレネードランチャーを持つデスズブラザーにとって部隊は大き過ぎる的に過ぎな
い。
 ブースターを使い、都市内を滑走し、とりあえずレーダーに何か引っかかるのを待つ。案の定レーダーに赤い点がい
くつも見えた。それを指標に彼はディスプレイ上にマップを広げる。
 奴らは中央の広場を陣取ったようだ。どうやら数を活かした正面からの勝負を挑む気らしい。しかも二部隊が集結し
ており決着をつける気だ。だが、彼は思うのだった。
 まったく問題にならない、と。
 彼は機体を上昇させながらスーパーチャージャーを展開する。スーパーチャージャーに吸収され、圧縮された大気は
次の瞬間には推進力となり、デスズブラザーを急加速させた。
 その急な動きに、MT群は遅れながらも迎撃を始めた。機銃、ロケット、ミサイル、パルスレーザーが飛び交い、まる
で花火のような華やかな情景だが、それらは全て上空を飛ぶ巨人を撃ち落すための凶器だ。しかし高速で動くACに掠
る事も無い。部隊の真上をとったところで推進を切り、<そのまま>グレネードランチャーを展開する。
「おつりだ」
 真下のタービュレンスに対しグレネード弾を発射する。大きな反動がデスズブラザーを上昇させ、ブースターを使わず
ともその場に滞空させる。目標をもう一体のタービュレンスに変え、更にもう一度発射した。これで爆炎は二つ。爆炎の
中ではいくつもの新しい爆発が起こり、それはまるでMTが地獄の業火に焼かれているようだ。
 さすがにコンデンサ容量が頼りなくなったところで、彼は機体を降下させる。生き残ったワイルドグースが機銃で反撃
するが重装甲の前にはまるで豆鉄砲だ。それどころか跳弾がワイルドグースに襲い掛かりさえする。
 着地の衝撃をブースターで和らげ、火の海に足がついたところで目の前のMTに右手のマシンガンを向け、お見舞い
する。爆炎で脆くなっていた装甲に、戦艦に装備される機銃と同じ口径である33mmの弾丸が次を争うように命中し、
MTはまるで踊るように吹き飛んだ。そこへ真後ろからロケットが放たれるが、それをまるで予想していたようにかわ
す。そのまま後ろにブーストダッシュさせ、ワイルドグースを轢く様にして建物に叩きつける。その際、目の前に残りの3
機を捉える形となり、ミサイルランチャーのロックを開始させる。
 ロック音がきっかり三回鳴ったところで発射させる。暗闇に白い煙が伸び、ワイルドグースに着弾し、爆発する。残っ
たのは脚だけだった。そしてそれは倒れ、金属音を鳴り響かせた。
 動くものは自分自身を残し何も無い。
 辺りは火の海だった。燃料などに引火しているのか爆発音が未だ続く。あれだけの大部隊が呆気ないほどに燃える
粗大ゴミに変わってしまった。ACの戦闘能力が圧倒的であったのもあるが、それよりも彼の技量が鬼神のまさにそれ
だったのだ。しかし、並のレイヴンならば逆に蜂の巣になっていただろう。
「増援は?」
 それを見渡しながらコックピットの中で言う。レーダーの反応は全て爆発によるものに過ぎない。
『無い。帰艦しろ』
 それに女性の声が答えた。
 大体10000コームの黒字か。そんな事を考えながら機体を移動させる。その顔からはミッションの成功による安堵
感を読みとる事は出来ない。ただ能面をつけたような無表情が張り付いていただけだった。



 ロジャーは独り控え室の長椅子に座っていた。そこは驚くほど静かで、彼の息遣いの他に音らしい音は無いのだっ
た。
 あの動悸はなぜ起きたのか。彼は気付いていた。トリガーを引き、それによって飛び出した弾丸が引き起こした反動
が僅かにコックピットに伝えられる。着弾に伴いディスプレイにはHITの文字が浮かび、コックピット内が僅かに緑色に
照らされる。その感覚は不快だった。
 そしてコックピットの無くなったタービュレンスを見た時。脳髄と内臓の両方に手が突っ込まれ、引っ掻き回されるよう
な感覚が渦巻く。とても正気ではいられない。その事が彼に一つの事を自覚させるのだった。
「ここにいたか。どうした?」
 ドアを開け、そこから年輩の整備士が新しく生まれたレイヴンに声をかけた。その顔には前に見たような覇気は感じ
られなく、むしろ疲労感の様なものが漂っていた。
「いえ、なんて言うか……考え事をしてたんです」
 その声に反応したロジャーはまたいつもの笑顔を作り応えた。しかし無理しているのは明らかで声も小さい。組まれて
いる両手も小さく震えていた。
「あの……、俺……、人を殺したんですよね」
 その言葉を口にした途端ロジャーの顔からは作り笑いさえ消えた。
 その感覚だ。人を殺したという自覚。更には殺しかけたという感覚が彼を無意識のうちに苦しめていたのだ。
「まあ、そうだな。それがレイヴンだ。そんなこといくら考えたって無駄だと思うぜ」
 彼は元気付けるために言ったつもりだったが、その返答にロジャーは顔を伏せた。ロジャーにとってレイヴンはヒーロ
ーであり、ACは正義の味方だったのだ。しかし、実際は相手がいわゆる悪人かも分からず、殲滅してしまった。
「ま、なんだ。おかげで誰かが助かったんじゃねえか?」
 居たたまれなくなった整備士がそう言い残すとその場から立ち去ったが、ロジャーはそれを見送る事が出来なかっ
た。

 悩んでもどうしようもないよな。俺はACが好きだ。だからACに乗れるレイヴンになった。確か父さんもそうだったよ
な。父さんも悩んだのかな。人を殺すって事。

「とりあえず前向きに行かないとな。俺にはそれしか無いんだし」
 ロジャーは立ち上がり、あの時のようにわざと声に出して自分自身に意思を示した。
 そこへ年配の整備士と入れ替わるようにして女性のオペレーターが現れ、下敷きに挟まれた書類とペンを差し出し
た。
「ロジャー・バート。この書類にサインしろ。そうすればお前は正式にレイヴンになれる」
 彼は深呼吸する。そして立ち上がると正面から彼女に向かう。
「はい」
 そしてロジャーは応えた。いつもの満面の笑みで。



「ビール」
「いいんですか? それでちょうど十杯目ですよ」
「俺はいくら飲んでも酔わないんだよ。試しに十桁の掛け算でもしてやろうか?」
 そうだ。俺は酔った事が無い。いくら飲んでもだ。そんな野郎がどうして酒を飲んでるか、俺にも分からんさ。おそらく
は単なる見栄か。
「分かりました。こちらの儲けがいくらになるか分かってらっしゃるようですしね」
 そういうと老人は新しくジョッキにビールを注ぎ始めた。なかなかユーモアのある男だ。
 俺は仕事の帰る途中で見た事も無いバーを訪れていた。薄暗い地下の世界にあって、橙色の照明は人を暖かく出迎
えるのだろう。見た限りでは造りは古臭いが、埃が舞ってなければひび割れのようなものも見えない。意識してるんだろ
うな。こういうところを。
 そのマスターは初老の、おそらく60を下った辺りの老人だ。老眼なのか厚い眼鏡を掛け、額は広く、その後ろに生え
た髪は白くなっていた。しかし言葉ははっきりとしており、衰えたのは身体だけなんだろう。サングラスを掛けた黒尽くめ
の大男とこうして普通に話をしているだけでも十分な度胸の持ち主だ。他に手伝いのようなものは見えない。
 だが良い店だ。もう来ないのが残念な程度にはな。この店どころかこの地下都市内に踏み入ることも無いだろう。い
や、レイヴンとしてなら無いとは言い切れないが。
 それにしても俺も歳を取ればこうなるのか。いや、その前にきっと死んでるな。大体予想はつく。
「その傷の事、聞いて良いですかな?」
 マスターが急に聞いてきた。思ったより好奇心が旺盛なようだ。多分二度と合う事の無い老人だ。話したって問題無
いだろう。だが、俺自身この傷の事に詳しいわけじゃない。
「気付いたらついてた。……信じる信じないはあんたの勝手だ」
「そうですか……。じゃあ自分が何杯飲んだかも覚えて無いんですね」
 そう言ってやると老人はあからさまに呆れた顔を見せやがる。そしてそれっきり会話が途切れる。なるほど、信じてな
いわけだ。当然だな。俺も他人事だったら信じないだろうよ。
「隣、いいかしら」
 今度は突然の女の声。横からだ。当然だが顔は見えない。俺の目線は正面の炭酸を噴出す液体に向けられている。
女の顔を見る理由は無い。
「構わないが、アル中になっても面倒はみない」
 ジョッキの半分ほどを一気に流し込むと俺はついでに言ってやった。飲む時は独りがいい。好きなだけ考える事が出
来る。何を、というわけではないが。その時、その時だ。多くの場合過去の事だ。自分の、世界の、な。
「相変わらず話す時に相手の顔を見る習慣は無いようね。デュライ?」
 デュライ? ……なぜだ?なぜ俺の名を知ってるんだ? 相変わらず? こいつは何を言ってるんだ?
 俺は思わずその女に振り向いていた。
 ……なんだ? 背中にかかる長い金髪、透き通る水のような蒼い瞳。白いスーツに身を包み、青いネクタイがそれに
アクセントを与えていた。見た目にはエリートの女実業家、と言ったところだろう。だが……この不快感はなんだ?
「久し振りね」
 その言葉を聞いて複雑に絡まっていた頭の中の糸が解けた。俺の思考は弾け、サングラス越しの黒い光景はいつの
間にか赤くなっていた。
「あんたは誰だ? なぜ俺を知ってる」
 なるだけ平静を装い、俺は女を殴り殺したい衝動をやっとで抑え、何とか紡ぎ出した言葉を喉から吐き出した。
「……そう、覚えていないのね。……そうよね。あんな事忘れてしまった方が良いわ」
 女はそれに答えない。しかしこいつは俺を知っている。確実に。
 どういうわけか哀しそうな顔をしてやがるが俺には関係無い。女がつい最近会った女の可能性も無いわけじゃねぇ。
だがこいつは……違う。
「あんた……俺の事を知ってるな」
 そうだ。こいつは俺を知っている。15年以上前の俺をだ! 女の見た目が20そこそこにしか見えないのは気になる
がそんな事はどうでも良い! こいつは俺を知ってるんだ!
「……ええ、知っているわよ。でも教える気は無いわ。今のあなたのためにもね」
「教えねえとお前のためにもならんぜ!」
 俺は立ち上がり、手を伸ばす。ネクタイを締め上げてでも吐かせる。その結果この女がどうなろうが知った事じゃな
い。俺が欲しいのは自分の過去だ。これからなんてものはどうにでもなる。
 だが、次の瞬間には俺は女の前に平伏していた。全身の反応が散漫になり、俺は女に腹を殴られた事を思い出すの
に数秒を要した。
「あの時と同じ。女性に暴力は感心しないわね、デュライ」
 その言葉を最後に急速に意識に靄がかかり始めた。だが、ここでこいつを逃がすわけにはいかない……。殺してでも
手掛かりを見つけてやる。しかしなぜ俺が女に殴られて倒れなきゃならん。いや、そんな事はどうでも良い。殺してや
る。殺してでも手掛かりを見つけて……さん。お客さん。いいかげん起きてくださいよ。
 誰かが体を揺すっている。……? 畜生! 糞が!
「ふう、やっと起きてくれましたか」
 俺は老人を跳ね上げて起き上がる。ものの見事に失神させられた! あの女が!
「しかしお客さん。そんな図体してあんなに細い美人に殴られちゃいけませんよ。おまけに営業妨害までされたらたまっ
たもんじゃない」
 一瞬この老人を殺そうかと思った。方法はいくらでもあるが今の状況ならば喉に一撃を加えるだけでいい。それで十
分殺せる。だがこいつには俺が逝ってた間の記憶がある。そいつを聞き出すまでは殺してもしょうがねえ。
「あの女は! どこに行った!」
「知りませんよ」
 糞が!
「俺はどの位ああしてた!」
「五分くらいですよ。あなた、あの美人とどんな関係ですかな?」
 糞が!
 だめだ、こいつは役に立たない。とりあえず100ドル札を投げ渡すとバーを出た。
 どこだ? 辺りは暗くあの女がどこに行ったか、示してくれるものは無い。ただ灰色の地下の世界が広がるばかりだ。
後では叩き開けたドアが軋んだ音を上げ、悲鳴を上げているようにも思える。その時俺は探し出すのを無理だと思い
知らされた。
「糞が! 糞が!」
 どうしようもなく腹が立った。女は俺を知っていた。俺も女に見覚えがある。いま分かるのはそれだけだ。だが……!


AC                 
RA                  
HEADZHD−MO/EGRET
COREZCX−F/ROOK
ARMZAN−707/E
LEGZLN−9001/A
BOOSTERZBT−Z1−ARTERE
FCSDOX−ALM
GENERATORHOY−B1000
RADIATORRRX−COT−GK10
INSIDEINW−DEC−MQ2
EXTENTIONBEX−BB210
BACK−RZWM−M55/6
BACK−LEWG−GN44−AC
ARM−REWG−MGA2
ARM−LNLS−T/100


 典型的な重量二脚ACのアセンブルパターンと言える。しかしその実、装甲、火力が高いレベルでまとめられ、機動力
さえも維持しているという戦闘用人型アセンブルの究極とも言える機体。これは幾年も戦場のレイヴンとして戦い続け
たデュライが徹底的にスペックを追った結果であり、この機体はその基本形。
 重量の増加に伴い、ENの消費が激しくなる事を見越して火器は全て実弾兵器となっている。しかもどれも決定的な
火力を持ちながら、牽制としても使用出来る高スペックを誇る。
 コアはデュライがレイヴンとなって一度も換装されていないパーツ。外装こそ全て地球のものとなっているが、内蔵は
完全に火星製のままである。このコアにはデュライがレイヴンとして戦い続けた全ての知識が集約されており、OSはほ
ぼオリジナルと言えるほどにカスタムされており、デュライの常人離れした動きを現実のものとしている。具体的には、
左腕は常に完全マニュアル制御となり、生命維持装置も半分程度しか機能していない。キャノン兵器のバランス制御は
ノータッチで、ラジエーターはデュライの直接的な操作によってしか作動しない。これらによってデスズブラザーは消費す
るENが軽減され、一方で自由度が向上し性能が強化されている。しかしこのデスズブラザーはデュライと言うレイヴン
が乗ってこそその性能を発揮出来るのであって、何も知らないレイヴンがデスズブラザーに乗ったところで、マシンガン
を撃つ度に転倒してしまうだろう。

AC                     
RA    

HEADZHD−GE/OHR
COREECM−XR00
ARMEAN−S0
LEGZLN−XX0/TP
BOOSTEREBT−GE
FCSDOX−105
GENERATORGPS−VA
RADIATORRPS−MER/SA
INSIDENONE
EXTENTIONNONE
BACK−RZRS−554/BW
BACK−LEWM−S602
ARM−RZWG−RF−37
ARM−LELS−2772


 初期機体と言われる支給AC。安価であり、脆弱と言う以外に特徴は無い。ただ、この状態でも量産型のMTを圧倒
する戦闘能力を有する。
 外装はともかく、ジェネレーターを始めとする内蔵パーツの弱体化が最大の弱点である。

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